一組の老夫婦と
醤油ラーメン
佐世保店には老若男女、沢山のお客様がご来店される忙しいお店です。お客様の中には、ご遊戯はされず『ごはんどき』でのお食事だけが目的でご来店される方も少なくありません。
時々お見えになる老夫婦もお食事だけのお客様で、奥さまは車椅子に腰掛けられご主人様が押して来られ、奥さまのご注文は必ず『醤油ラーメン』で、横でご主人様が温かく見守られています。
ある日の朝、店舗から私に入電…しかし、他の店舗との通話中で直ぐに出れず折り返し掛け直すと、お客様がごはんどきの開店前に醤油ラーメンが食べたいと仰られ、勝手に出来ず武藤AMに相談して早目に開店し提供したということでした。
それから数ヵ月たったある日、また店舗から入電…今回も別の電話対応中で直ぐに応対出来ず折り返すと、リーダーの伊奈さんから先に一言、『勝手なことしてスミマセン…』と謝罪、 話を聞くと『お客様が醤油ラーメンを車内で食べたい』と仰られて、外に持ち出すのは流石にNGと一度はお断りしたものの、ご主人様が『今日は車椅子を積んでくるのを忘れてしまって店内まで連れてこれない…でも家内が食べたいと言っており、どうしても食べさせてあげたいんです』と言われたことに、何とかしてあげたい!!と思い、先ほど身障者用のパーキングに駐車中の車内まで運んで来ました。今車内でお食事中です、ご主人様が介助してお召し上がりになられるので大丈夫と思います。と…
そして、リーダーは火傷など十分注意されて召し上がられるように、お声掛けもしっかり行い『今度は車椅子を忘れずに積んできてお店に食べに来てくださいね♪』と伝えていました。私は一度もお会いしたことのないご夫婦ですが、ただの我が儘ではなく奥さまの為に頭を下げてまでご主人様がお願いする何か深い理由が、きっとあるんだと思いその光景が目に浮かびました。
それは私が生前母にしてあげたかったことと重なりました。ご遊戯をされるわけでもなく、更に沢山ある飲食店の中で『ごはんどきの醤油ラーメン』が食べたいと思って下さっている一人のファンの願いを『出来ません。』と簡単な一言で終わらせず、何とか出来ないか?と立ち止まり考える優しい気持ちと、一遍通りのサービスではなく、お客様の立場に立って考えアドバイスした武藤AMと、私に連絡が付かず諦めることなくとっさに武藤AMへ相談した佐世保店スタッフの行動をとても嬉しく思います。
ダイニング全体でこういう輪をもっともっと広げ皆が自然に行動できる店舗、お客様に愛される店舗を増やして行けたら素敵だなと思います。
全ては・・・お客様の灯るい背中が見たいから
投稿者光益 久美子さん