「美しい」の基準
経営移管前のデイリーヤマザキの頃、当時高校二年生だった久保玲斗君は、人生初のアルバイトを当店で始めました。税理士を目指し専門学校に進学後、勉強が忙しくなっても変わらずにアルバイトを続けてくれています。
経営移管後、ファミリーマートとして再スタートを切ったタイミングからは発注を任せたり、新人育成の一部を任せたり、と、今や頼れるリーダー的存在となっています。
ある日、久保君が新人にフライヤー清掃を教えていた時、会話が聞こえてきました。
内容は、フライヤー本体だけではなく周りの壁も拭くように、隙間に入り込んだカスも取るように、といったものでした。合間に何度も「仕上がりは『美しい!』と思うレベルで」と言っているのが聞こえ、私は、彼が品出しや在庫整理、ウォークイン、清掃等の作業完了後に「うーん、美しい!」とよく言っていることを思い出し「面白い表現をする子だなぁ」と一人で笑っていました。
続けて彼は言いました。
「店長が通りかかった時に『いいね、今日も美しいっ!』って言ったらその日は勝ち。無言でスッとこの辺を拭き始めたら負け。」
「店長の『美しい』が聞けたら合格、それが最低ラインの基準。」
自分ではあまり意識したことはなかったのですが確かに高頻度で「美しい」と言っている気がします。彼に教えていた時、ユーモアのひとつとして何度か言ったのかもしれません。
久保君にとってはそれが印象的でひとつの基準となったのだと思います。
私の「美しい」という判断基準がそもそもどのレベルなのか?という話は一旦置いておくとして、少なくとも「第三者の目線で判断してもらう」という意識を持って仕事をしている事は素晴らしい事だと思います。特に、自分が忙しかったり、役職に就く等状況や立場が変わると注意してくれる人が少なくなり、基準が甘くなりがちです。
元々は私発祥の「美しい」ですが(たぶん)、一周回って「自己満足ではなく、第三者・お客様目線で考え行動する」という大切な事を彼から教わりました。
久保君は3月で退職し春からは新社会人として巣立っていきますが「いいね、今日も美しいっ!」と言える、そんな人生を送ってほしいと願っています。
綺麗で清潔な店舗を保ちたいと思います。
投稿者刈屋 雄介さん